静電誘導
今回は、「静電誘導」についてです。前々回の鏡像法で扱った例(平面を境界としてに広がる導体)から実際に導体表面に誘起される電荷密度を求めていきたいと思います。
鏡像法の例では、仮想電荷を用いると静電ポテンシャルは、
となりました。
ここで、
なので、
のとき
のとき
となります。
確認として
なので、はで連続で、その値はです。
一方、
なので、はで不連続です。
このような不連続関数は階段関数を用いるとうまく表現できるので、
と表すことにします。
ここで、に注意すると、
さらにでの偏微分も考えて、
よって、 のように書けます。
いま、は式(1)から、なので、
ゆえに、
上の結果と、ポアソン方程式とを比較すると、
1項目はにある表面電荷に対応する電荷密度で、2項目はにある点電荷に対応するということです。
つまり、導体に誘起される表面電荷密度をとすると、
となり求めることができました。
ついでに、全誘起電荷
も求めてみましょう。
平面にわたる積分はデカルト座標でも可能ですが、極座標を用いた方が少し簡単で、
なので、
となり、平面に誘起された全電荷がであるということは簡単に想像ができると思います。このような静電誘導を、特に完全誘導と言います。