支点が動く振り子 解説1

解説1

 みなさん、こんにちは!本日はさっそく解析力学の問題の解説をやっていこうと思います。なぜいきなり、問題の解説を書こうと思ったかと言いますと、大学での力学の授業で、解説が答えありきの雑なものだと感じたからなんです。ですので、この解説ではなるべく式は省略せずにやっていこうと思います。


まず、問題はこんな感じです

  1. この振り子に関するハミルトニアンを求めよ。
  2. ハミルトンの正準方程式を求めよ。
  3. ハミルトンの正準方程式を解き、微小振動における振動数を求めよ。 
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支点の動く振り子


では、問1から考えていきましょう!
とりあえず質点の座標を(x,y)とします。すると、
x=x_0 + lsin\theta , y=lcos\theta
と表されるので、
\dot{x}=\dot{x}_0+l\dot{\theta}cos\theta , \dot{y}=-l\dot{\theta}sin\theta
となります。

いま、運動エネルギーTとポテンシャルエネルギーUは、
T=\frac{1}{2}m(\dot{x}^2+\dot{y}^2) , U=\frac{1}{2}kx_0^2-mglcos\theta
と表されるので、ラグランジアンは、
L=T-U=\frac{1}{2}m({\dot{x}^2+\dot{y}^2})-\frac{1}{2}kx_0^2+mglcos\theta
=\frac{1}{2}m(\dot{x}_0^2+2l\dot{x}_0\dot{\theta}cos\theta+l^2\dot{\theta}^2)-\frac{1}{2}kx_0^2+mglcos\theta
です。

ここで、つぎのような行列を導入して計算を楽にしていこうと思います。

M=\begin{bmatrix}m & mlcos\theta\\mlcos\theta & ml^2\end{bmatrix},
q=\begin{bmatrix}x_0\\ \theta \end{bmatrix},
p=\begin{bmatrix}p_{x_0} \\ p_\theta \end{bmatrix}


これらを用いると、ラグランジアン

L=\frac{1}{2}\dot{q}^{\mathrm{T}}M\dot{q}-U
のように表現できるので、定義に基づいて一般化運動量pを求めると、

p=\frac{\partial L}{\partial \dot{q}}=\frac{1}{2}(M+M^{\mathrm{T}})\dot{q}=M\dot{q} \Rightarrow \dot{q}=M^{-1}p


これでようやく準備が終わりました。よって、求めるハミルトニアンは、

H=p^T\dot{q}-L=p^T(M^{-1}p)-\frac{1}{2}({(M^{-1}p)}^TM(M^{-1}p)-U)=\frac{1}{2}p^TM^{-1}p+U
となります。

ハミルトニアンの具体的な計算については、

M^{-1}=\frac{1}{ml^2sin^2\theta}{\begin{bmatrix}l^2 & -lcos\theta\\ -lcos\theta & 1 \end{bmatrix}}
に注意すれば、


H=\frac{1}{2ml^2sin^2\theta}{\begin{bmatrix}p_{x_0} \\ p_\theta \end{bmatrix}}^T{\begin{bmatrix}l^2 & -lcos\theta\\ -lcos\theta & 1 \end{bmatrix}}{\begin{bmatrix}p_{x_0} \\ p_\theta \end{bmatrix}}+U=\frac{l^2p_{x_0}^2-2lp_{x_0}p_\theta cos\theta +p_\theta^2}{2ml^2sin^2\theta}+\frac{1}{2}kx_0^2-mglcos\theta
として求めることができます。




はじめての投稿で慣れない部分もあり、今日の解説はここまでにさせていただきます。それではまた次回から問2についての解説をしていきますのでよろしくお願いします!
最後までお読みいただきありがとうございました。




つづきの解説↓
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